勤務先に台湾出身の後輩社員、L君がいる。
みんなが嫌がる面倒な仕事にも率先して取り組む、常に笑顔のナイスガイ。
そのL君が、来週会社を去る。
彼は、平日は営業マンとして働くかたわら、週末に配管工事のA社でバイトを続けていた。
そのA社で新たなキャリアをスタートさせる。
職人として働いて技術を身に着けながら、配管業で独立するための資格取得を目指す、という。
そして数年先、起業が叶ったら台湾にいる兄を日本に呼び寄せて一緒に会社を経営したいと夢を語る。
心の中で「いいね」ボタンを激しく押す。
L君の滞在資格は、ニュージーランドでいうところのワークビザに近い。
雇用主のサポートがないと滞在許可がおりないからだ。
また、勤務先の業種や企業規模などによってビザの期間が変わるらしい。
これまで彼のビザは1年間有効という場合がほとんどで、毎年更新しながら日本で働いてきた。
一昨年、同じ台湾出身の女性と結婚して子供が生まれたので、帰宅しても家事が忙しく、体をゆっくり休められる時間は、寝てる時以外通勤中の車中くらいしかない、という。
台湾にいる両親はそんな息子を心配して帰国を促しているが、L君は好きな日本で頑張り続ける道を選んでいる。
彼を見ていると、自分になかったものに気づく。
移民として生きる上での目的と信念みたいなもの、そして最も大事な地道な努力。
L君と比べると圧倒的に足りなかった。
海外移住する時は、滞在ビザの取得とか言葉の壁とか、表面的なことに気がいくけど、本質的に大切なことは、
「その国でいったい何がしたいの?」
ということ。
日本の永住ビザ申請には必要となる年収基準があって、L君はまだ申請すらできていない。
「僕、貧乏だからもっと稼がなきゃね」と彼は笑って言ってた。
日本でやりたいことがあって、それに向かってブレずに夢中で走り続けている。
永住ビザはいずれ取れるに違いない。
海外へ移住を考えている人は、自分に問いかけてみるといい。
現地で「何」をしたいのかを。
答えがすぐ出てこないようなら、やめといたほうが身のためだ。
コメント
コメントを投稿